野菊の香り

幽玄ワンダーランド

ドーキンス「利己的な遺伝子」をざっくばらんに

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利己的な遺伝子を読んだ。40周年記念版。
 
500ページくらいあったんだけど、産業で。
・個々の遺伝子は「複製を残すべし!」という動機から活動している。
・そのために「生き物」という「乗り物」をつくって操っている。
・でも人間だけがこの遺伝子の本能に抗うことができる(ミーム)。
 
発刊当時は、
「人間の行動は全て利己的遺伝子に支配されている!?なんてことだ!!」
という反応が結構でてきたらしい。
で、ドーキンスは繰り返し、
「いやそーいうんじゃなくてね、わかりやすくちょっとSFチックに書いてるけども」
みたいなことを言っている。
 
個人的にはしょーじきどっちでもいいなーと思ってて。
「利他的に見える行動でもなんでも、最終的には全部自分のためにやっている」
という意味で、全ての行動は利己的(ジコチュー)だ。
という考えなので、利己だの利他だのはなんでもいいかなと。
 
ボランティア(利他的!)でも、詐欺(利己的!)でも、
結局なにかしら自分に報酬があるから動いているわけで。
※ボランティアだったら「経験」とか「他人からの感謝」とか。
※詐欺だったら「目先の金」。
 
だから利他的か利己的かって話はあんま興味わかなかったんだけど、
この本から派生して面白いなって思ったのは下記の点だった。
 
遺伝子というプログラム
「(遺伝子)俺は俺を増やしたい!」その意思のもとに「生き物」という『乗り物』が作られ、その乗り物は遺伝子の目的を達成するような行動を取るよう設計されている。らしい。
「本能」とか「種の保存」とかじゃなくて「遺伝子」っていう単位で人間の行動を説明したのが面白かった。
で、生き物ってのは生き物の「乗り物」に過ぎないと。
「ジョン・コナーを殺せ」っていうプログラムをインストールされた、優秀なロボット(ターミネーター)みたいなね。
 
 
「◯◯シェパードの人たちは、クジラの遺伝子が組み込まれているのかもね!」
もちろんドーキンスが言った言葉じゃないです!
読書会したときに、そのメンバーの一人が言っていた言葉。
なるほどね、と。
遺伝子が近いほどその遺伝子を助けようとするらしいんだけども。
(イルカが人間をたすけたりするのも、ここに理由があるとのことで)
クジラの遺伝子が組み込まれた彼らとしては、
自分たちとめっちゃ近い遺伝子を滅ぼすとは何事だ、許せん、と。
彼らというか、彼らに組み込まれた遺伝子が叫ぶのだ。
納得!
そういうことにしておこう。
 
 
「感情の理由」を調べるのが好きなんだけど、この本はそれを知る一助になったので楽しかった。
なんというか徹底的に客観的というか、
人間が人間について語ったのではなく、
「遺伝子様」という支配プログラムが、自身の乗り物である「ニンゲン」を語った
みたいな感じで。
無機質な視点が実にクールでした(とか言ったらドーキンスに怒られそうだけど)。